就園・就学

6年間の児童発達支援を終えて【後編】

我が家の次男(6歳、障害者手帳1級、療育手帳A1、医ケア有)はこの3月に1歳から約6年間通った「医療型児童発達支援センター」を卒園しました。次男が過ごした6年間の振り返り、後編です。

医療型児童発達支援センターとは
いわゆる「療育園」と言われる施設の一つ。大きな特徴として肢体不自由児を対象としており、療育と共にリハビリなどの「治療」を受けることができます。
発達の状態や特性に合わせて支援計画書を作成し、子どもの成長を手助けしてくれます。また、地域の保育園との交流や、就学サポートなども行っており、地域の中核的な療育施設の役割を担っています。
※令和6年度からは「医療型児童発達支援」は廃止され、「福祉型児童発達支援」と統合されます。

デメリットは原則親子通園と園児数が少ないこと、その対策

次男の通っていた園は親子通園が原則で、親の時間も拘束されるデメリットがあります。
分離の時間もありますが、離れて過ごせるのは年中さんで週1日、年長さんで週2日。預かり時間も短く、送迎時間を考えると自由になるのは4時間程度。ちょっとした用事を済ませることはできても、その時間内で働くことは中々難しいです。

わたしは途中から「児童発達支援事業所(児童デイサービス)」と併用し、週1回はデイで次男を長時間預かってもらい、自分の時間も作ることにしました。

短い分離の時間でしたが、次男にとっては大好きな担当保育士の先生を独占できる貴重な時間でもありました。分離が始まった当初は私から離れることが不安で今にも泣き出しそうな顔でバイバイしていたのに、年長にもなるとバイバイしてもそっけない態度を取られることもしばしば。それだけ園を楽しめている証拠でした。

お芋掘りをする次男お芋掘り体験

もう一つのデメリットは在園児数が少ないこと。特に次男のような重度障がいがある子どもは学年に1〜2人しかおらず、軽度障がいの子たちは先に卒園し次のステージへ上がってしまう為、年齢が上がるにつれて同年代の子どもは減っていき、0〜3歳の子たちと過ごすことが増えていきます。

そこで、年長になってからは「個別交流保育」を利用しました。月に一度地域の保育園に午前中だけ親子で通い、同年代の子どもたちと一緒に遊ぶ機会を作りました。交流保育では療育園とはまた違う刺激を沢山受けることができたので利用して良かったと思います。

「交流保育」とは
お住まいの地域によっては、療育園が地域の保育園と交流をしている場合があります。
私の住んでいる市では、園が主体で月1回行う地域の保育園へクラスごと往来する団体交流と、保護者が市に申請し提携園へ個別で交流に行く個別交流(最大月4回)の制度がありました。コロナ禍ですべてSTOPしていましたが、年長時から交流が再開されました。

親子通園だからこそ得られたこと

先ほどデメリットとして上げた親子通園ですが、良かった面もあります。私も一緒に通うことで、日常の何気ない困りごとをすぐに先生たちに話せるので、短いスパンで解決することができました。先生たちはどんなことでも親身になって聞いてくださるので、関係のない長男のことまで相談していました。

お誕生日会の様子
お誕生日会の様子。巨大ケーキはトランポリンでできています。

同じような悩みを持つ親御さんたちと顔を合わせて情報交換ができたり愚痴をこぼし合えることも非常に大きなメリットでした。

月に一度、園が子どもたち全員を預かってくれて、保護者だけで好きな企画を楽しむ日があり、お菓子を持ち寄りおしゃべりしたり、各自の得意分野を活かしてイベントを行ったり、保護者同士の交流を深める時間も園が提供してくれました。私も特技のフラダンスをみんなに教え、子どもたちの前で発表したことが思い出に残っています。

次男だけでなく、私も園の存在に大きく支えられていました。

園の生活を経て大きく成長した次男

入園当初、次男の意思表示は笑うか泣くかの二択でした。人懐っこい性格なので、いつもニコニコ愛想を振りまいていましたが、反面本当に好きなことは何なのか、ちゃんと理解して笑っているのか疑問に思うこともありました。

特に年長になった辺りからぐっと感情の引き出しが増え、怒ったりいたずらしたり、ちょっと困っているけど我慢したり、ツボにはまって爆笑したり、そんな様子がみられるようになりました。

自分の担当の先生を認識し、今日はどんな楽しいことをしてくれるのか期待の眼差しを向け、満面の笑みで甘え、先生が側を離れると大きな声で呼ぶことも覚えました。
先生のことが大好きなんだといつも全身で表現していて、親以外にこんなにも次男が信頼して心を寄せる大人ができたこと、本当に特別だと感謝しています。

先生と公園で遊ぶ様子大好きな先生と公園で遊ぶ次男

 

一番驚いたのは、「もう一回」を覚えたこと。歌や遊び繰り返す時に先生たちが必ず右手の人差し指を1本立てて「もう一回?」と聞いてくれていたのですが、最初は表情で答えていた次男が、「人差し指を立てる」という動作を覚え、アピールできるようになりました。

初めて「もう一回」の動作をした時は、ともすれば見逃してしまうような小さな動きでしたが、すかさず先生が拾ってくれました。その後も次男が少しでも指を動かす仕草があれば、先生たちが何度でもリクエストに応えてくれたので、次男も自分の気持ちを受け取ってもらえる事に気が付き、段々と「もう一回」の動作をはっきりとできるようになっていきました。今では好きな歌や遊びが始まった瞬間に人差し指を立てて「フライングもう一回」をしてくれます。

障がいによりうまく手を動かせない次男が、まさかそんなことができるようになるとは思ってもみなかったので、こういった成長は手厚い療育の成果だと感じました。

そして卒園、春からは小学生

卒園式の日、大好きな担当の先生と一緒に入場してきた次男はにっこにこでした。あまりに楽しそうに入場してきたので、流れかけた涙が止まり私まで笑顔になってしまうほど。
式の間はずっと先生の顔を見つめていて終始楽しそうでした。

思い返せば療育園での生活はいつも子どもたちと先生たちの明るい笑い声で溢れていて、本当に楽しい6年間でした。

次男は園が大好きで、駐車場についてバギーに乗ると景色で園に着いたとわかるようで、玄関まで歩く道中は期待で笑いが溢れます。
次男の姿が見えると「次男く~~ん!おはよ〜!」と先生たちが明るく玄関まで迎えに来てくれて、次男も待ってましたとばかりにキャッキャと笑い先生たちに抱っこをせがむ日々でした。
この光景がもう見られないと思うと、さみしくて仕方なく、離れがたい気持ちです。

さくらと新一年生

4月からは小学生になりました。
園での経験を糧にして、さらに成長した姿を見せてくれることを期待しています。

前編はこちら

ちはるの自画像担当ライター:ちはる

10歳6歳児のママ。ディズニーと洋画が好き。ハクナ・マタタの精神で生きてます。特技はフラダンス。