「脳性まひ」という用語は何を意味するでしょうか。「脳性」とは脳に関連することを意味し、「まひ」とは弱化、または力の欠落、あるいは筋制御の欠如を意味します。

それゆえに脳性まひは脳のある領域への損傷から結果的に乗じる運動の障害のことを指します。

交通事故や脳卒中などの異なる問題から、人は人生のどの時期においても脳に損傷を受けることがあります。しかし「脳性まひ」という用語は、問題が出生前、出産期、出生後に生じた時に使用されます。

運動の問題は、運動・筋・神経系の構造の問題であるとも言われます。その問題の範囲は軽度から重度まで広がっています。
軽度の脳性まひ児には、一則の腕または脚にやや不器用さがみられますが、その問題はかろうじて気づく程度です。より重度の脳性まひ児には、毎日の課題や運動を遂行するときに多くの困難が生じます。
脳性まひ児は弱々しく、筋肉に硬さがあり、不器用でゆっくりとした、あるいはよろけるような動きを示し、バランスの困難さがあります。

運動障害のタイプ

運動障害のタイプ

脳性まひは5種類のタイプに分類されます

(1)痙直型
脳性まひの中でも最も一般的なタイプです。痙縮は関節のこわばりや筋肉の硬さを生じさせます。筋肉群が硬いのは損傷した脳の部位から筋肉群に誤ったメッセージが伝達されるからです。健常者が運動を遂行する時には反対側の拮抗筋群はリラックスする一方で筋肉群が収縮します。痙直型脳性まひ児は両側の筋肉群が同時に収縮するために運動が困難になります。

(2)アテトーゼ型
不随運動を伴う脳性まひのことを言い、全身に筋緊張の異常がみられます。

(3)低緊張型
くったりとして、姿勢保持、平衡感覚障害があります。

(4)失調型
脳性まひのタイプの中では最も少数です。失調は不安定でぐらつく動きや、振戦(身体の一部または全身に現れる機械的振動で、律動的な不随意運動をいう)を意味するために使われる言葉です。失調型脳性まひ児もバランスの問題をもっています。

(5)混合型
上に述べた病型のうち2つが複合したもので、ほとんどがけい直型とアテトーゼ型の混合型です。この混合型は、脳性麻痺の小児の多くにみられます。混合型の小児では、重い知的障害がみられることがあります。

 

障害がでる身体の部位

子供によって障害の部位には違いがあります。障害のある体の部位を表すためにさまざまな用語が使用されます。

障害がでる身体の部位

出典/グラクソ・スミスクライン株式会社

(1)四肢まひ
左右両側の上肢と下肢に障害があります。顔面や口腔、咽頭の筋群にも障害が出ます。
多くの四肢まひ児は移動のために車椅子が必要です。

(2)両まひ
両下肢が主に障害があります。一般的に両まひ児は上肢や手の運動もいくらか困難です。
独歩か歩行用の杖または歩行補助具を使って歩きます。また車椅子を使う両まひ児もいます。

(3)片まひ
片側の上肢と下肢に障害があります。(片側不全まひとも言われます)
一般的に方まひ児は独歩ができます。上肢は軽度か中等度、または重度に障害があります。

(4)対麻痺
下肢のみの麻痺

(5)三肢麻痺(両下肢と片側上肢)
単麻痺(片手または片足だけの麻痺)など

脳性麻痺の症状には幅があり、ぎこちなさが認められる程度のものから、重度のけい縮によって腕や脚がねじれて、装具、松葉づえ、車いすなどの補助具が必要になるものまで様々です。
運動野以外の脳の部位も損傷を受けている場合があるため、脳性麻痺の小児の多くに、 知的障害、行動障害、視覚障害、難聴、 けいれん性疾患などの別の障害がみられます。

[参考]

■参考書籍 脳性まひ児の家庭療育 原著第4版 EVA BOWER 編著/上杉雅之 監訳
https://amzn.asia/d/5fdebq4

■神奈川県立こども医療センター
https://kcmc.kanagawa-pho.jp/diseases/nou.html

■MSDマニュアル家庭版
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/23-小児の健康上の問題/小児における神経疾患/脳性麻痺