暖かくなり春が訪れ、新生活がスタートする季節ですね。我が家の次男(6歳、障害者手帳1級、療育手帳A1、医ケア有)もこの3月に1歳から約6年間通った「医療型児童発達支援センター」を卒園し、特別支援学校に入学しました。次男が通った「医療型児童発達支援センター」とは具体的にどんな施設なのか、6年間の思い出を振り返りながらお話したいと思います。
満面の笑顔で迎えた卒園式
医療型児童発達支援センターとはどんな施設なのか
障がいなどの理由により、発達に困難を抱えた子どもたちの発達支援を専門知識を勉強した先生方が行ってくれる施設、「療育園」の一つで、その中でも「医療型児童発達支援センター」は肢体不自由児を対象としており、療育と共にリハビリなどの「治療」を受けることができる場所です。
児童発達支援センター(WAM NET)
https://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/jidou/handbook/service/c078-p02-02-Jidou-07.html
一人ひとりの発達の状態や特性に合わせて支援計画書を作成し、子どもの成長を手助けしてくれます。また、地域の保育園との交流や、就学サポートなども行っており、ワンストップで障がい児の支援ができる地域の中核的な療育施設の役割を担っています。
次男が通っていた園では「PT(理学療法)」を週2回、「OT(作業療法)」、「ST(言語療法)」をそれぞれ週1回ずつ受けることができました。
また、定期的に小児科、整形の診察があり、年に1度眼科や耳鼻科、歯科の検診もあります。
PT(理学療法)・・・運動機能の維持・改善を目的に行われる治療法。
公益社団法人 日本理学療法士協会ホームページ
OT(作業療法)・・・日常生活の諸活動に焦点をあてた治療、指導、援助
一般社団法人 日本作業療法士協会ホームページ
ST(言語療法)・・・発声、発語、言葉のコミュニケーションや摂食・嚥下(食べ方)の指導、治療
一般社団法人 日本言語聴覚士協会ホームページ
初めての遠足でブランコに乗せもらったときの様子。ドキドキしながらも楽しめました。
保育活動の合間にリハビリを受けることができるので、別途医療機関へ通う手間を省くことができとても効率的です。また、保育活動中もPTの先生に姿勢などの助言をもらえたり、給食の時間にはSTの先生から摂食のフォローが入ります。
保育士とリハの先生たちが協力し多方面から子どもたちを支えてくれるので、本当に心強く、また常勤の看護師さんもおり、医療的ケアも受けられます。
バギーや座位保持装置、装具や靴なども業者が園に来てくれるので、リハの先生たちと相談しながら園でまとめて作成することができました。
保育の面でも子ども一人ひとりに担当保育士がつき、どんな時も愛情いっぱいに接していただける上に、抱っこ移動やおむつ替えなどの介助もさりげなく交代してくれるので、とても助かります。ともかく園に行けばなんとかなる!という安心感がありました。
今まで分けられていた肢体不自由児への支援とその他の障がい児への支援が1本化され、同じ施設で行うことができます。これにより、支援内容や環境の地域差を埋めることができ、障がいの程度に関わらず支援を受けられるインクルーシブな形になりました。医療型の特徴であった「治療」も引き続き受けることができます。
また人員配置も見直され、定員に応じた児童指導員・保育士の配置ができるようになりました。
「医療型児童発達支援センター」を選んだ理由は早期療育とリハビリ
0歳から通えるため、療育とリハビリを早期に始められるところが魅力的でした。また、私が住んでいる地域では重度障がいがある子どもが通える施設の選択肢が乏しく、保育園、幼稚園では受け入れは不可能だと諦めもありました。
当時の私はまだ赤ちゃんだった次男の障がいを認められない気持ちが大きく、また脳性まひという絶望感に打ちひしがれており、中々契約する決心がつきませんでした。それでも療育の重要性は分かっていたので1歳を迎えたら入園しようと決心し、足取り重く通い出したのが始まりです。
園の先生方はそんな私と次男をとても明るく暖かく迎えてくださいました。工夫を凝らしたたくさんの遊びを一緒に楽しみ、次男はすぐに園が大好きになりました。
また、障がいの内容は違えど、同じような境遇のママたちとも出会い、先輩ママの背中を見て落ち込んでいても仕方ない!と前向きな気持ちになることができました。
リハビリの効果は抜群にあり、特に先生手作りのハイハイマシーン(板にキャスターをつけたもの)にうつ伏せで乗って移動できるようになった時は感動もひとしおでした。
私の呼びかけに応じて次男が自分で私の胸の中へ来てくれる、願いが一つかなった瞬間でした。
お手製のハイハイマシーンに乗る次男
OTでは電車の玩具に興味を持ち、動かしにくい手を頑張って動かして一生懸命遊ぶようになり、電車が好きなんだという新たな発見もありました。
STでは先生と長い時間かけて築いた信頼関係により、普段はムラのある次男がSTの先生の声掛けには必ず声を出して返事をするようになりました。
工夫された様々な保育活動
保育の時間では、お歌や絵本の読み聞かせなど定番のものから、トランポリンやサーキット、新聞遊び、ボール遊び、そり滑りなど身体を動かすもの、小麦粉粘土やゼリー遊び、麺遊びなど感覚を楽しむもの、お絵描きや作品づくり、お習字などのじっくり取り組む制作系、保護者とのふれあい遊び、多岐にわたる活動がありました。
それぞれが狙いをもって計画された遊びで、発達状態に合わせて関わり方も微調整してくださいました。
家ではできないダイナミックな遊びもあり、次男は激しい遊びがお気に入りで、大きなトランポリンに体を委ねてポヨンポヨンとしてもらうのが楽しくて仕方ないようでした。
中には苦手な遊びもありましたが、6年も通っていると小さい頃は嫌がったり怖がっていた遊びも成長するにつれ段々と楽しむことができるようになっていき、最終的には貫禄さえ感じてくるような変化がありました。
春・秋の遠足、運動会、プール、ハロウィンやクリスマス、苗植えやお芋掘りなど、季節に合わせた行事もあり、沢山の経験が積めます。
先生たちがいろんな工夫を凝らしてくれるので、いつも楽しい時間を過ごすことができ、6年を通して沢山の思い出ができました。
担当ライター:ちはる
10歳6歳児のママ。ディズニーと洋画が好き。ハクナ・マタタの精神で生きてます。特技はフラダンス。